とうとう2018年に入り、診療報酬改定が近づいてきました。
今年に入ってから、診療報酬関連のセミナーへ積極的に参加していきます。
さて、今回は昨年の末頃に出た入院料についておさらいしておきたいと思います。
目次
一般病棟の評価体制が変わる
中医協では、急性期入院料の評価体系を議論されました。
厚労省によると、看護配置等による基礎的評価や診療実績を組み合わせて、新たな評価方法を確立していくということ。
現行の7対1と10対1に相当する評価の間に、中間的な段階を設ける考えが出てきています。
将来的な変動にも対応できるように、実績に応じた評価体系に変わっていきます。
下の図は、それを表した図ですが、10対1の急性期医療の基本部分に加えて看護必要度などの診療実績が段階的な評価となっていきます。
7対1は現行通りとなる可能性が高いですが、10対1の中でも、看護必要度が低い医療機関などは、点数の引き下げにあう可能性がありますね。
看護必要度の見直し
看護必要度の項目の見直しは、以下の項目が論点になりました。
- 認知症およびせん妄の患者
- 救急搬送後の入院
- 手術後の患者
「認知症およびせん妄の患者」では、元医師の診察や指示の見直しの頻度、直検の看護の提供頻疫」の負担が大きいことを踏まえて「B項目の認知症およびせん妄に関する項目について、A項目1点以上を並存する場合は、該当患者に追加する」としています。
「救怠搬送後の人院」については、A項目の「救急搬送後入院(2日間)」を救忌医療管理加算の算定忠者(2H間)に見直されます。
「手術後の患者」では、c項目の間腹手術の5日間を短縮となります。
また、項目の見直しで該当患者が増えることが考えられますので、「25%以上」の要件についても見直しがかかるかもしれません。
入院基本料の名称が変更になる
どのような名称がつけられるのかわかりませんが、それぞれの入院基本料の名称が変更になります。
名称が変更になったからといって、大きな問題ではありませんが、厚労省の考えを表していますので覚えておいた方がいいですね。
入院医療その8
中医協は入院医療その8として、
- 救急医療
- 短期滞在手術等基本料
- 入退院支援
- データ提出加算
- 入院患者に対する褥瘡対策
について議論されていました。その内容について書いてみます。
1.救急医療
ア)救急医療管理加算の評価のあり方を、DPCデータ等による調査結果を踏まえ、18年度改定以降、引き続き検討する
イ)二次救急医療機関の夜間の救急外来に配置された看護職員による救急搬送患者への対応について評価する
ウ)患者数の少ない病棟や病棟の患者の容体、看護補助者の配置等の一定の要件下に限り、入院料の夜間の看護職員配置を満たさない場合の評価を設定する
2.短期滞在手術等基本料
DPC対象病院について、傷病名や複数の手術・処置等を加味したDPC分類で算定することを提案。
算定ルールの変更による平均在院日数、重症度、医療・看護必要度等への影響にも配慮しつつ、診断群分類における点数を設定する
3.入退院支援
ア)早期からの退院支援として、入院早期から関係機関と協力して支援が必要なケースも退院困難な要因とし、退院支援の対象として明確化する
イ)退院に向けた連携として、
a)地域連携診療計画加算について、退院支援加算2を算定する医療機関も対象とする
b)退院時の共同指導について、より実施しやすくするために職種や関係機関の要件について見直す
c)退院支援が必要な患者で、関係機関と共同指導ができなかった場合に限り、療養上の情報を退院後の医療を担当する主治医や配置医、訪問看護ステーション、入所する介護施設等に提供することを評価する
d)障害福祉サービスとの連携のため、相談支援専門員を介護支援専門員と同様に評価する
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支払い側は、「退院支援加算1、2について、ストラクチャー評価となっており、アウトカム評価もすべきではないか。」という意見も出ているので、退院支援加算についても、アウトカムの評価が設定される可能性が出てきました。
4.データ提出加算
ア)「200床未満の10対1入院基本料」「回復期リハビリテーション病棟(入院料1・2)」「200床以上の回復期リハビリテーション病棟入院料3」「200床以上の療養病棟入院基本料1」について、DPCデータ提出を要件とする
イ)病床機能や特性に応じたデータ提出内容とする
ウ)未コード化傷病名の割合が高い医療機関は、データ提出加算の評価を見直す
エ)回復期リハビリテーション病棟入院料1における「重症度、医療・看護必要度」の基準を要件から除外する
たとえば、未コード化傷病名10%以上とか?
5.入院患者に対する褥瘡対策
ア)入院中の新たな褥瘡発生予防として
a)褥瘡に関する危険因子の評価の中にスキン-テア(皮膚裂傷)を加える
b)褥瘡ハイリスク患者ケア加算の対象者に「医療関連機器の長期使用者」を加える
イ)ADL維持向上等体制加算のアウトカム評価、院内褥瘡発生率について検討する
ウ)療養病床における褥瘡評価実施加算でアウトカム評価を要件化する-等を提案
イ)について、院内褥瘡発生率の基準は厳しいとし、基準を3%とするよう要望。ア)のb)についても、賛成した上で、短期間で発生してしまう褥瘡についてはどのように考えるのかと指摘。
まとめ
これからは、急性期病棟の役割を担っているのかで、実績を評価されていきます。
基本部分は10対1に準じた形になると思いますが、医療機関で努力・継続できる部分は実績部分です。どのくらいマネジメントできるかが勝負ですね。
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